私どもの創り上げる和装人前式「和奏婚」では、音楽を箏(琴)と尺八で奏でています。
今回はその中でもお箏(琴)の話を少し取り上げてみたいと思います。
お箏(琴)は古事記にも登場するほど古くからある楽器で、ヤマタノオロチを退治したお祝いに天照大神が命じて造られたと言われ、日本を平定した時もお箏(琴)が奏でられたという記述が残されています。平安時代には華やかな王朝貴族の文化が広がり、お箏(琴)は貴族たちに愛され大切にされてきました。江戸時代になると現在伝わっているお箏(琴)の大元の形と基礎が出来上がり、たくさんの曲も作られて、一般の人もお箏(琴)が習えるようになりどんどん広がっていきました。
女性の嗜みの一つとして皆が習うようになったのです。京都の銘菓「八つ橋」はお箏の名手八橋検校から名前を取り、お箏(琴)の形を象っていることは有名ですね。そんな長い歴史を持つお箏(琴)ですが、実は楽器の様々な部分に、ある動物の名前が付いているのです。
それは…………
「龍」
なんです!何故でしょう?
そもそも龍は、中国の神話の中で出てくる想像上の動物で、皇帝のシンボルとして大切にされていて、紀元前4700年頃から装飾品などにも掘られています。お箏(琴)は、皇帝も扱う高貴な楽器ということで龍に見立てられたのです。例えば、奏者が座る方から順に、龍頭、龍舌、絃を通す穴を龍眼、糸を支える所を龍角、演奏する方と反対側を龍尾、などなど他にも細かく龍の名前が付いています。
また、農耕民族の日本人にとって農作物の出来を左右する雨はとても重要でした。その大切な雨を司る龍は何よりも尊い神様として崇め奉られていたのです。中国でも日本でも特別な存在である龍に例えて作られているお箏(琴)は、おふたりとご家族の繁栄を願う結婚式にふさわしい楽器ではないでしょうか。
そして私たちは古来からある箏(琴)の曲だけでなく、J-POPやクラシックなど耳馴染みの曲もおふたりのコンセプトやご希望に合わせてアレンジをして演奏しています。この曲をジャズ風に、というリクエストをいただいたりして奮闘することもありますが、13絃の中で可能な限りはご要望にお答えしています。
おふたりの大切な結婚式、ぜひ縁起の良いお箏の音色に包まれて挙げませんか。