
「男と男の約束」
2016年11月29日 T&Fご夫妻
先日、無事に結婚式を挙げられたおふたり。お話をいただいたのは4ヶ月程前でした。初めて新郎にお会いした日のことを今でもよく覚えています。
「実家で結婚式をする事はできませんか?」お一人でいらした新郎が、切り出しました。
お父様が要介護でご自宅で療養されており、車椅子での外出もかなり限られた時間と範囲になること、それでもお父様には結婚式に参加してもらいたいと。
また、和装が新婦の夢なので絶対に叶えてあげたいが、神社の結婚式は父が参加出来ないので悩んでいること、それならいっそ自宅で出来ないのかと思ったそうです。
こんなにもお父様や新婦のことを思って悩んでいるこの方こそ結婚式を挙げてほしい!と、僕はまず新郎のご実家に伺いました。
ご実家で結婚式が出来るのか検討したかったのと、お父様にお会いしたかったからです。お母様からは、お父さんを参加させるのなんて無理だから施設に預けて普通にやったら良いのよと言われました。でも、新郎はお父さんが参加出来ないなら結婚式はやらないという、お父様への強い想いがありました。
「諦めないで欲しい!」
僕はその時にそう思って、お母様にお父様の事について色々教えてもらい、参加出来る方法を考えました。色々検討した結果、ご希望だったご自宅でのお式は無理があると判断し、それならと調べてまわり、福祉施設を兼ねた公民館を借りて和奏婚をする事に決めたのです。そこは新郎の実家からすぐのところにありましたし、ここならお父様の負担が少なくて済むのではと、新郎に提案しました。
お母様は公民館ということに驚いていましたが、本当に皆の希望が叶う結婚式が出来るなら、ということで早速準備に取りかかりました。そんな中でありがたいことに役所の方も、結婚式ならと施設を貸切にしてくださるなどご配慮頂き、施設の方々も色々ご協力くださいました。
今回ご協力いただいた公民館。
公民館の無機質な空間を結婚式会場に変身させるため、チーム全員が力を合わせて準備に集中。新郎の思いが皆を笑顔にさせます。
お支度が整ったおふたりは前撮りへ。
お花のバージンロードが完成!テーマカラーは新婦の好きなピンク。
奏者の衣装もテーマに合わせました。
ご自宅から車椅子でゆっくりとお越しいただき、控え室でお待ちになられていたお父様、入ってきた新郎の紋服姿を目にされた途端、ニコッと笑ったんです!それはもう本当に嬉しそうな優しい笑顔で、お母様も新郎も数年ぶりに笑った顔を見たと涙が止まりませんでした。
ご希望通りの和装に身を包まれた新婦は気品と可憐さを兼ね備えた、とても素敵な花嫁でした。
大好きなお母様と会場へ向かいます。
お母様より「幸せになってね」と願いを込めて懐剣の儀を行いました。
水あわせの儀はそれぞれのご実家からお持ちいただいたお水を注ぎ、新しい家族のお水となりました。
おふたりからの独立宣言。今までの感謝を精一杯の言葉で伝える新婦に、お母様の目にも涙が溢れます。
指輪の交換をして晴れて夫婦となりました。祝奏はおふたりの大好きな、さだまさし!
家族7人でのお式は、新郎新婦お互いへの、そして自分の家族とお互いの家族への
愛情がいっぱい詰まった、おふたりにしか出来ないお式となりました。
お式の後にはお色直しをしてご家族だけのお食事会、お取り寄せの美味しいお弁当と共に花嫁が手作りをしたお味噌汁も大変喜ばれ、お話が弾んでるようでした。
お二人を祝福するような秋の柔らかい日差しの中、たっぷり時間をとって新郎の思い出の場所での撮影。新郎の少年時代に想いを馳せて皆が笑顔に。
後撮りはウエディングドレスと、お祖母様に買っていただいた大切な振袖で。
今回のお式は、結婚式を諦めたくない、本当に大切にしているものを諦めたくない、その想いを叶えるために!自分がなぜフリプランナー(フリーランスウエディングプランナー)の道に進んだのかを改めて確認した結婚式でした。
〜和奏婚チーム〜
プランナー:岩泉ピアン
司 会:宮崎ゆか
琴奏者:金子さやか
尺八奏者:渡辺元子
美粧着付:比留間明紫
フォト:佐藤健介
フラワー:大貫清香